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いくらなんでもないだろう
小説を書くとは、言い訳を書くことだ。 と私は呟いた。 またしても身勝手な推理を発見した。 「羊を巡る冒険」で涙腺を緩ませたあの頃を思い出せないが、 なぜかあれ以降買っても最後まで読み通した実績のない私だが、 今回の1Q84は一気に爆読した。 もしかしたら読書力が淡く向上したのかもしれない。 なんたってあの内田樹さんが、読み終わるのが 名残惜しい1Q84ブログ発言?に触れて 急いで口で吸えした身としては一寸先はもう道中膝栗毛である。 やはり売れる本はエンターティメント性に飛んでいるのですか。 何にも起こらない物語映画の限界はうすうす感じていたものの、 映画の原作にこれなら一直線とも感じた 大衆小説のありようは、結局ここまでやるんだね。 …やるときはやるんですねどんなだれでも。 なんだか、安心したというか、人間はそんなに… 高尚な生き物ではない? とも言い切れないからますます私は夜はトマトだ。 引用1Q84 「自分は思い出し損ねているのではないか、 という感覚が天吾にはずっとあった。 それが、靴の中に入った小石のように、 ときどき彼を落ち着かない気持ちにさせていた。」 引用終わり 靴の中に入った小石のように、落ち着かない気持ち… なるほど、小石の例えが200万部作家の個性だとするならば、 売れない作家?及び凡人(私)の個性なら、 どんな例えを選ぶだろうか? 歯の隙間に残ってしまった食べカスが取れない。 空っぽの財布で一日過ごさなければならない。 携帯をホテルに忘れてきた。 検便で鮮血反応がプラスだった。 子供名前がもう一週間思い出せない。 う〜ん、どれをおとりになってもね。 引用1Q84 「天吾は黒板を消すように意識をまっさらにし、 もう一度記憶を掘り起こしてみた。青豆について、 自分自身について、 二人のまわりにあったものごとについて、 漁師が網を引くように柔らかな泥底をさらった。」 引用終わり 黒板を消すように、か、 答案用紙を破り捨てるように、 結婚指輪を海に向かって投げ捨てるように、 徴兵令状を噛み砕いて飲み込んでしまうように、 どこかが、違う、 漁師が網を引くように柔らかな泥底をさらった、 泥底か、水銀中毒も怖いな、痛い痛い痛い みんな忘れているがうまい魚も汚染がね… うん?話がそもそも違う。 ダイソンの掃除機でその男の精液を吸い取ってしまった。 これは痛そうだ。 目的は、いいわけ だ。 引用1Q84 「空気さなぎ」は幻想的な物語のかたちをとっているものの、 基本的には読みやすい小説だった。 それは十歳の少女が語る口語を模した文体で書かれていた。 むずかしい言葉もなく、強引なロジックもなく、 くどい説明もなく、凝った表現もなかった。 物語は終始、少女によって語られる。 彼女の言葉は聞き取りやすく、簡潔であり、 多くの場合耳に心地良いが、 それでいてほとんど何も説明していなかった。…」 引用終わり 一見、1Q84 の読者に自ら言い訳しているようにもみえるが、 さらに引用、 「ほとんどの読者がこれまで目にしたことのないものごとを、小説の中に持ち込むときには、なるたけ細かい的確な描写が必要になる」 言い訳しながら、解説しながら、作家は未来の書き手に 世界の見方を伝授する。 だから現代人のコミニケーションのあり方への 批判とも受け取れなくもないことがらも… リチャード・キンブル、職業医師、 彼は身に覚えのない妻殺しの犯人として逮捕され刑務所へ護送中に からくも脱走した。 私の曖昧な記憶がなぜここに出てくるのか? つまり、 説明しなければ分からないことは、説明しても分からない。 この決定的な短距離真理とそれがツインになっている と思われなくもない、 「なんの説明もしていない」 現代社会のあり方に、 批評でもしなければ気持ちが収まらない 欲望=真理 いつまでもループするように相手に時代に会わせるように ここでは簡潔な言葉で語られ、 我々の置かれている無重力さをそこはかとなく 認識させようとしている企み。 そんな風に読解したとしても次回の戦争に、 まさかこの歳で、狩り出される徴兵されることは いくらなんでもないだろう と高をくくっていることもどうですか。 つづく。 話すことがもっとあるのに… あっ、言い訳は 良い 分け かも… で、明日は本番。 clubdictionary#04 男と女のダバダバダ 大貫妙子さんと阿部海太郎のみたこともきいたこともない オリジナルセッションが計画されています。 「利休にたずねよ」山本兼一著 から私が抜粋した物語を 朗読して頂きます。音楽はすべてオリジナルです。 美しい映像が浮かぶであろう、この実験的な試みは 私たちのリアルな物語を淡く浸食するかもしれません。 ぜひ、お出かけください。 恵比寿駅から恐ろしいほど側のレストランがその舞台です。 club dictionary #04
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